国の借金
国の借金というと、日本だけでなく、最近はヨーロッパの国々でも大きな問題になっています。
春にはギリシャが、そして先月はアイルランドが、 もう自分たちの国だけではやっていけないと、EU=ヨーロッパ連合などに助けを求めました。
そもそも国はなぜお金が必要なのでしょうか?
国は、医療やお年寄りの福祉、こどもたちの教育、道路や橋を作る公共事業、 それに国を守るための防衛など、国民のために仕事をしています。
その年の仕事をするのに必要なお金は、最初に決めておきます。
それが予算です。
でも、予算はいわば枠だけなのです。 では、必要なお金はどこから持ってくるのでしょうか?
1つは国民の納める税金です。 それで足りない場合は、ほかからお金を借りてくる、つまり借金するのです。 借金をするとき、貸してくれる人に国債という券をわたします。 国債は、このぐらいのお礼をつけて返しますよ、と約束する券です。
ギリシャやアイルランドなどの国は、この国債で、 外国の銀行などから、たくさんのお金を貸してもらいました。 お金を貸している銀行は、その国の借金が多くなればなるほど、 返してもらえなくなるのではないかと心配します。
そうなると、お礼をどんどん増やしていかなければ貸してくれなくなります。 たくさんの借金をしている人がお礼をたくさんつける、と言うと疑ってしまいますよね。 同じように、たとえ国でも、あまり借金が多い場合は、 信用がなくなって、外国の銀行は、それ以上貸してくれなくなります。
ギリシャやアイルランドは借金が自分だけでは返せないほど多くなったため、 国連などに助けを求めたのです。
では、日本はどうでしょうか? 日本だって、他の国と同じようにいろいろな仕事をしています。 そのために必要な予算はことし2010年度で、92兆円でした。
では、収入はどうなっているかというと、税金などのお金は47兆円。 後の半分近くは国債、つまり借金なのです。 この国債、去年、2009年度は52兆円、 その前は33兆円など、毎年積み上がっていっています。
また、国だけではなく、地方も借金をしています。 こうして積もり積もった借金の額は何と850兆円です。 日本は、アメリカ、イギリスなどの2倍以上、 ギリシャやアイルランドと比べても借金の割合が非常に高いのです。
では、このお金は誰から借りているのでしょうか? 多くは日本の銀行です。
銀行はみんなの貯金したお金を国に貸しています。 つまり、このお金は結局、国民が貸していることになるのです。
ギリシャやアイルランドは、他の国の銀行からお金を借りていました。 それに比べて、日本は自分の国の銀行から借りているので、 突然貸してくれなくなることはあまり心配しないでいいと言われます。
でも、今ある借金は、将来、税金から返さなければなりません。 ということは、みんなが大人になったときに納める税金で返すわけです。 今の大人たちが、こどもたちに付けを回しているのと同じなのです。
日本の法律は、国は特別な場合でないと借金してはいけないと決めています。 それなのに国は、毎年「今年は特別だ」と言って、わざわざ法律を作ってまで借金を重ねています。 でも、国民がお金を貸してくれているからと言って、 つけをどんどん未来に回す、そんなやり方がいつまでも許されるわけはないのです。
テーマ:このままで、いいのか日本 - ジャンル:政治・経済
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