イラン情勢
イランという国で、大統領選挙のやり直しを求めて多くの人たちが抗議の行動をしています。
これに対して政府の兵士が銃を撃つなどして、死者も出ています。 イランはなぜ混乱しているのでしょう?
イランは日本の4倍くらいの広さがあり、7000万人が暮らしています。
イスラム教を信じる人が多く、正式な国の名前は「イラン・イスラム共和国」と言います。 石油の量は世界で2位と言われ、日本もイランからたくさんの石油を買っています。
この国で、6月12日、大統領を選ぶ選挙が行われました。 4人が立候補しましたが、実際は、アフマディネジャド大統領と、 ムサビ氏の戦いだと言われました。
アフマディネジャド大統領は、イスラム教の教えを守るためとして、 自由にものを言ったり、好きな服を着たりするのをあまり認めません。 また、アメリカやヨーロッパの国々とは仲が悪くてもかまわない、 イランはイランのやり方でやると言っています。
一方、ムサビ氏は、自由をもっと認め、アメリカやヨーロッパとも仲良くしていくべきだと言って、 都会の若者を中心に人気を集めていました。
選挙は2人の接戦になるのではと予想されていました。 しかし、開票の結果、アフマディネジャド大統領が2450万票、 ムサビさんが1320万票と、2倍近い差をつけてアフマディネジャド大統領が勝ちました。
これに対して、ムサビさんを応援する人たちからおかしいという声が上がりました。 実際、地方では、投票できる人の数より、実際に投票された票の方が多いところがありました。 また、ムサビさんの出身地など人気がある地域でも アフマディネジャド大統領が勝ったりしていたのです。
このため、ムサビさんを応援する人たちが、選挙をやり直すよう求めて行進しました。 その人数は10万人以上。イランは大混乱になりました。
ここで登場したのが、最高指導者のハメネイ氏。 実は、イランには大統領より偉い人がいるのです。 大統領も軍隊もハメネイさんの言うことを聞かなければなりません。
ハメネイさんは、先週金曜日、「選挙はきちんと行われた」と言って、 アフマディネジャド大統領が勝ったことを認めました。 そして、抗議の行動は間違っていると言って、行進をやめるように求めたのです。 最高指導者が、こう言ったにもかかわらず、翌日も数千人が首都のテヘランで行進しました。
この人たちに向けて、政府の兵士が銃を撃つなどしました。 これまでに、少なくとも17人が亡くなったということです
なぜ、市民はここまで怒っているのでしょうか? その理由には、景気が急速に悪くなっていることがあると言われています。
アフマディネジャドが大統領になってから、これまでの4年間に、 ものの値段が2倍に跳ね上がりました。また、失業者も増えています。 これはアフマディネジャド大統領がきちんと対策を打たなかったからだ、というのです。
イランは、原子爆弾などの核兵器やミサイルを開発しているのではないかという疑いを 世界からもたれていることもあります。 このためイランの混乱を、世界が心配しています。
でも、正確な情報が入りにくくなっています。 なぜなら、混乱が始まってから、 イラン政府は外国のテレビや新聞の取材を許さなくなっているのです。
したがって、現在イランで本当に何が起こっているかは分かりません。 政府の兵士に撃たれて亡くなったり、 怪我をしたりした人の数もイランの国営放送が発表したものです。
自由を求めて行進する国民に武器を使うということが許されていいわけがありません。
イランはどうなっていくのでしょうか・・・。
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