特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム、有料老人ホーム・・・。 施設は様々な用途がありますが、その中のひとつ、 グループホームについて、本日は紹介しようと思います。
認知症の高齢者が増えるなか、 急増した高齢者用の施設。そのひとつ、認知症高齢者グループホーム。 小人数の家庭的な雰囲気で、一人一人に応じたケアを受け、 穏やかに過ごせるのが特徴。 ニーズは高く、入居待ちも生じているが、必ずしも質が伴っていない実態もある。
グループホームは、1ユニット5~9人の家庭的な環境で、 できるだけ自立した生活を送る居住施設である。 入居するお年寄りは介護スタッフと食事の支度や掃除、洗濯なども行う。
認知症でも、要介護度が軽く、動き回れる人には、 お年寄りの動きに職員が合わせるこうしたケアが適しているとされる。 特別養護老人ホームなどでの集団を対象にしたケアでは 対応が難しいことから、欧州で始まり、日本でも十数年前に取り入れられた。
「認知症介護の切り札」として期待されたグループホームだが、 どうも特養化している所が多く見られる。
特養などの集団処遇では、 職員が立てたスケジュールに沿って介助が効率的に行われる。 食事は厨房から配膳車で食堂に運ばれ、限られた時間内に食べてもらう。 入浴は時間帯で人数を割り振って介助し、 排泄介助も決まった時間におむつ交換をする。
これに対して、小人数のグループホームでは、 お年寄りが食事の献立を自分たちで考え、買い物や調理もする。 夕方や就寝前に入浴でき、尿意のあるときにトイレに誘導してもらえる。 そのため、落ち着いた環境で穏やかに暮らすことができる。
そんなグループホームだが、私の見てきた所は違う。 起床や朝食などを決まったスケジュールで行うところがある。 私は何度かグループホームでボランティアをしたことがあるのだが、 寧ろスケジュールで管理するのが当たり前だと思っていたくらいだ。
恐らく高齢者の波に乗って参入してきた経験のない事業者にとって、 スケジュールで管理するのがやり易い方法だったのだろう。
グループホームは、平成12年に介護保険がスタートすると、 異業種からの参入もあり、全国で急増した。 参入が容易だったせいか、 必ずしも認知症介護の専門性が発揮されていない実態もあるということだ。
国民生活センターが16年に実施した調査では、 退去の理由は病気治療のほか、 「利用者・家族の経済的理由」 「大声や暴力、徘徊など他利用者への迷惑」 などが目立った。 その後の居場所では、病院に次ぎ特別養護老人ホームが多く、 特養の待機場所となっている実態が伺える。
「認知症の人と家族の会」に昨夏、寄せられた体験では、 「廊下に失禁したという理由で退所させられた」 「看取りに本人も家族も満足」と、評価は割れた。
質にばらつきはあっても、 「グループホームで元気になった」という利用者家族は少なくなく、 多くの所で入居待ちが生じている。 しかし、地元になかったり、 特養より入居費用が高いなどの理由で「入りたくても入れない」の声も上がる。
利用者・家族のニーズは高いが、 「入るのが難しい」との声が聞かれる。 背景には、近くになかったり、都市部を中心に費用が高いなどの問題がある。
2年前の法改正でグループホームは、 市町村指定の「地域密着型」に移行した。 例えば、武蔵野市に住んでいる高齢者が、立川市のグループホームに入りたい。 しかし、住んでる地域が違う為、入所することはできない、というルールができた。
更に、グループホームは全ての地域にあるわけではない。 入りたい人間は、わざわざ住所を変更しなければならない。 つまり、その地域に家を借りるか建てるかして住民票を移さないといけないわけだ。
更に入所するにはその地域の町民(市民など)として 介護保険料の納付実績が求められるため、 住民票を移してから何ヶ月か待たなければならない。
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テーマ:グループホーム - ジャンル:福祉・ボランティア
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