去年、公務員の「天下り」ということが問題になりましたね。 その内容を解りやすく書こうと思います。
そもそも、天下りとは、国の役所を辞めた人が、 役所と関係のある会社などに再び就職することをいいます。
この天下りが生まれるのは、役所の仕組みと関係しています。
国の役所で働く人を、国家公務員といいます。 ここでは、とくに難しい試験に受かった国家公務員、 キャリアと呼ばれることがありますが、その場合を例にとります。
同じ時期に役所に入った国家公務員は、初めのうちは沢山います。 でもその後、課長・局長など役につくようになりますね。 この役職は全員の分はないので、役につけない人が出てきます。 するとそうした人は、役所からやめるよういわれるのです。
公務員は、60歳まで働いていいことになっていますが、 50歳くらいで辞める人がでてきます。 同じ時期に公務員になって、最後まで役所に残るのはふつう1人だけ。 リストラと似ているかもしれませんが、 景気がよくなるとリストラはなくなりますね。 しかし、景気に関係なくずっとこのやり方が続いているのです。 理解に苦しむかもしれませんが、日本の役所ではこれが昔からのしきたりなのです。
では、途中でやめる人はどうなるのでしょう。 中には、自分の実力で仕事を見つける公務員もいます。 これは問題ではありません。
問題になっているのは、役所が関係している会社や団体などを世話して、 そこに就職すること。給料も地位も高い。いい条件で就職できるのです。
その人が会社に向いているかどうかには関係なく、 無理やり雇ってもらうこともあります。 これが天下りです。どんな問題が起きるのでしょう。
例えば、国の仕事をA社にやってもらうとします。 天下りを引き受けてもらっているので、役所はA社をひいきして、 ここだけに仕事が集まる、ということが起きます。
役所は、A社とつながりを持っていれば、 このあとも天下りを引き受けてくれると考えます。 一方A社の側も、天下りを引き受ければ「役所が仕事をくれてもうかる」と考えるのです。
しかし、そもそも国の仕事は税金で行われます。 税金が不公平に使われ、同じ会社ばかりもうかるのは不公平です。
また、こんな問題もあります。 公務員が天下りで就職するところには、会社だけでなく、 役所と関係のある団体などもあります。
お金もうけが目的ではなく、 国民のための仕事をしていて、公益法人と呼ばれます。 ここもたくさん天下りを引き受けています。 ここに2、3年勤めてさらに別の会社へ天下りするケースもあります。 役所をやめるときに退職金をもらい、 公益法人をやめるときにも退職金をもらって、 更に別の会社に勤めるというわけです。
このことから、国家公務員ということだけで、 恵まれていい仕事につけるのはおかしい、という批判も強いのです。
そこで、この天下りを何とかしようと、 政府は、国家公務員法という法律を見直す案を、 去年、国会に提出しました。
まず、それぞれの役所が、天下りの面倒をみていたのを禁止します。 役所と会社の関係を切ってしまうのです。 その代わりに、「官民人材交流センター」というところを、新しく作るというものです。
これについては、ここでは割愛します。
公務員の仕事は、国を支える大事なもの。 その公務員のあり方が、大きく変わるかもしれませんね。
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