父と会社
763: 08/09 04:48
会社経営していた親父は46歳で癌で死んだ。社命がかかっているので(小さな会社だが) 告知望み死期を医者から教えてもらった父は厨房の俺から見ても超人的な気力で 仕事の引継ぎや遺産相続の処理を行い、それから死んだ。 死を覚悟し全部自分で成し遂げたかっこいい親父だと思ってた。
それから10年経ち、 大学を卒業した俺は「好きなことをしなさい」と言う母を押しのけ亡き親父の会社へ入った。 親父が亡くなったあと、祖父の代からいる番頭さんが会社をまとめてくれていた。 「もしも○○←俺、が会社を継いでくれる日が来るなら」と俺が継がないなら 番頭さんが辞めるときにこの会社も終わりにしよう、と親父が言っていたらしい。
俺の初出社の日、番頭さん(といっても社長だが)が初めて話をしてくれた。 当時あれだけ冷静に死の準備をしていたように見えた親父の話だ。 死が逃れられないことを知った親父は本当に会社の屋上から飛び降りようとしたらしい。 それを番頭さん以下数人でタックルして阻止したことや俺や弟と酒と酌み交わす日が絶対に来ないことを、 妹の未来のだんなには絶対会えないことを狂ったように親父が嘆き悲しんでいたこと、 死を前にしてもクールに見えた親父の別の面をこのとき初めて聞いた。 俺にとっての親父のイメージってカッコイイ40歳くらいの時の写真だからさ。
しがない会社だけど、俺の代では絶対につぶさない。
テーマ:ひとりごとのようなもの - ジャンル:日記
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